45歳でフリーランスになってから5年経過しています。年収は290万円に抑えており、基本的に基盤設計と修理が中心となっていて、一部ライター業務も平行して行う状況です。
年間のうち半分程度働き半分は休みとすることで、働きすぎず余暇を楽しみながら長く継続することを目指しています。
全力で働けば年収700万円程度となりますが、貯金もあるし、今は増やすメリットを感じていません。
修理の仕事で独立しようと思ったきっかけ
20代~30代までは基本的に家電量販店とコールセンターでの勤務が中心となっていて、趣味で基板設計と修理を請け負う形式で働いていました。
家電量販店でも主に法人向けの部署を担当していて、買い替え相談が中心だったので経営者ならではの悩みを顧客から零される機会が多かったです。
そして、35歳となった時に発生した東日本大震災が原因で、複数の友人を亡くすことになってしまい生きていなければ意味がないと思うようになりました。
基本的に週5日勤務に加えて趣味を兼ねた副業も行っていたので、実質的には週7日働く状態を見直して必要な分だけ自由に働ける環境を目指したいと考えたわけです。
今までは通勤が楽になる場所に住むことを考えましたが、フリーランスならば住む場所の自由度も高くなるメリットを考えて独立を意識しました。
起業前の勉強や準備事項について
副業として行っていた基板設計と修理は、電気工事士の資格があるだけでなく家電修理も行っていたので時々知り合いから依頼を受けていました。
「休日となる週2日を使って副業できるなら週3日にして本業でも構わないのではないか」と考えるに至ります。
電子工学を更に専門的に勉強しつつ、3Dプリンター向けの設計図を専門的に作成できるように試行錯誤を繰り返したわけです。
そして、メーカーを退職した知人を訪ねて教えを請うようになり、4年の歳月をかけて一通りの基板設計と修理を行えるようになりました。
修理内容を従来の家電製品から基盤修理中心へと変更し、廃盤となっている機械の修理を行えるようにすることが主な目的です。特に故障箇所を特定させるための検査方法について詳しく学びました。
開業資金は500万円
開業資金として用意した金額は500万円であって、全額を貯蓄から出すことにしました。
故障箇所を調べるための検査機器やテスター類に200万円をかけて、工作機械に100万円・交換パーツストックに50万円を用意したわけです。
基板設計を行い修理まで手を出すと、検査機器を手元に用意しておかなければならない状況が生まれます。
借り入れも考えましたが、返済に追われる生活はフリーランスとしての開業後に失敗しやすいパターンだと分かったので生活費とは別にした自己資金は全額貯蓄から出すことだ正解だと理解しているつもりです。
350万円を開業資金として実際には使いましたが、残りの150万円を運転資金として活用しているので特に困ったとこはありません。
開業で一番苦労した点
フリーランスとして開業する際には、仕事の受注先が安定して得られるかという点が当初は心配でしたが、メーカーのOBに教えを請うようになってから考えが変わりました。
なぜなら、フリーランスとして働き始める際には、依頼を断るケースが過半数になると教えてもらったからです。
副業として趣味で基板設計や修理を請け負う際には、高い利益率を気にする必要がありません。しかし、本業としてフリーランスになるためには、残念ながら利益をしっかり計算した上で働く必要があります。
そして、最初の1年目に仕事を受注しすぎて当初の週3日営業ではなく週6日営業となってしまったにも関わらず、年収ベースでは200万円に届きませんでした。
頑張って仕事をしても収入に繋がらないという現実は、住民税が前年所得に応じて課税されることで1年目は赤字となってしまったことで辛いものとなりました。
友人や知人から家電製品の修理を請け負いすぎて、利益がほとんど出ないまま受注したことが原因でした。
家電製品の修理を行っても利益はほとんどなく、工業機械の修理は高額で受注できるわけです。
なぜなら、工業機械は修理費用が高くても早期に直すことで利益を生むので、すぐに対応すれば1件で多くの利益を稼げます。
廃盤となっている工業機械の基盤修理だけに特化すれば、週1日稼働でも家電製品週6日修理よりも利益が出るわけです。
そこで、家電製品の修理は週1日に限定して受注することで、利益率を圧迫しないようにしました。
独立して分かったこと
フリーランスとして働いてみると、好きな日に営業できるという点が最も嬉しかったです。顧客先へ出向いて作業をしなければならない時以外は、自宅で設計を行うといった作業が中心となります。
営業時間も自分で決められるので、働きすぎを防げます。一方、フリーランスは会社員とは異なり経理や総務の業務も1人で行わなければならないので、どんぶり勘定ではすぐに割に合わない状況に陥ります。
特に注意しなければならないことは、個人事業税が290万円を超えた金額に対して罰金のように徴収される点です。
経費と利益をしっかりつけた上で計算して290万円に抑えるだけでも300万円働いた場合よりも手取り収入が多くなるという逆転現象が起きます。
法人税の個人版が個人事業税ですが、1人だけで営業しているフリーランスならば、思い切って500万円以上の所得を得るだけ頑張るか290万円以内に所得を抑えるといった所得額の調整が必要です。
受注量の調整をしっかり行うことが難しければ、年末近くはまとめて休みにしてしまうと良いでしょう。
起業前に人生設計が重要
家族構成や必要な年収としてどの範囲が望ましいのか、人生設計をしっかり行った上で独立開業することが望ましいです。
特に最初の3年間は無駄な受注と頑張りをしてしまう傾向が強いので、2年目と3年目は前年の失敗から学んで事業の効率化とスリム化を目指すと良いでしょう。
家族のために収入を増やしたいなら頑張り、家族との時間を増やしてそこそこの生活で良いなら利益率を重視するといった働き方が望ましいです。
年齢に関係なく定年が存在しないフリーランスならではの特徴を生かして、生涯現役で年金に頼らない生活を営めるように工夫したいと考えています。
若い頃に頑張って働いた経験は、フリーランスとなってから十分に活かせるので、人脈作りを先に行っておくと失敗しづらいはずです。
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